アドバイザーになってから手放せた大きなモノ  中島 理沙

こんにちは。整理収納アドバイザー 中島理沙です。先日まではとても寒い日が続きましたが、ようやく温かい日差しが出てきました。花粉にも悩まされる時期ですね。さて、今月は『アドバイザーになってから手放せた大きなモノ』についてです。

私が手放した大きなモノ、それは『理想』です。

『自分の理想とする母親像』『自分の理想のお部屋』『理想の暮らし』『理想の…』。考えてみれば長年、この『理想』というものに強く悩まされていたかもしれません。自分自身の『高い理想』を知らぬ間に創り出し、「自分自身の理想は、家事をてきぱきとこなし、掃除も行き届いており、お部屋も綺麗、家族にも完璧な食事を作り、子ども達にいつもニコニコ」などのイメージを想像していました。

ところが『現実』は、なかなかそうもいきませんでした。娘が産まれてばかりの頃、息子の離乳食づくり、おむつ替え、2~3時間ごとに娘の授乳、そして娘もおむつ替え、朝昼晩食事を作り、娘と息子をお風呂に入れるが精一杯。子どもにパジャマを着せて、授乳、息子を寝かしつけ…。日々、子ども達を寝かせるまで必死の毎日。当然、家にいる事がストレスでした。辛い『現実』の自分が、『理想』の自分になかなか追いつけず、自分自身がコンプレックスになっていました。

こんな事が一体いつまで続くのだろう。そして、いつになったら自分は『理想』に近づけるのだろう…途方に暮れる毎日。この『理想』の呪縛から、なかなか解放されることが出来ませんでした。

勿論、人間誰しも完璧ではありません。完璧や理想を求めすぎてしまった為に、それには到底追いつけず、心も窮屈に、辛くなっていたのです。多くのモノに押しつぶされて窮屈になっていたどころか、大切なモノまで部屋の片隅に追いやられていました。

ところが、当時この『理想』をすぐ手放す事は出来ませんでした。自分にとってはとても大きなモノでしたし、なかなかその「勇気」が出てこなかったのです。長年抱えていたものを手放すにはとても不安があったのです。「捨てる」「手放す」という事は、自分にとって「マイナス」になるのではと信じ込んでおりました。実際にモノを「手放す」事で自分にとって「プラス」が増える事を知るようになるのは、アドバイザーになってからです。ようやく色々なモノを少しずつ手放す事が出来るようになっていきました。

家の中にある全てのモノで「何が必要か、何が不必要なのか」と選ぶようになり、「今の自分と家族」にとって大切なモノを厳選し、その他のモノを手放していくうちに、「何が本当に大切な事なのか」。そのことを強く知ることができたのです。

今現在2人の子供は、遊びの真っ盛りで、家の中で遊べば昔よりも大きく散らかります。もし、昔の『理想』を抱えた私だったら、身が持たなかったかもしれません。今では、多少散らかったとしても、すぐに片付ければ元に戻る事も知っていますし、子ども達も元に戻したり、夕飯を手伝ってくれたりと助けてくれるようになり、昔に比べるとだいぶ助かっています。勿論、子ども達を叱らなければならない事も増えておりますが、自分のストレスの矛先を子ども達に向けて怒鳴り散らして後悔する、という事はなくなりました。もしそんな自分が出てきた時も、『理想の自分』はもうその理想の座から降りてもらったので、時には『そんな自分』が出てきても、『今の自分』でいいのだと自分自身を受け入れる心が出てきたと思います。

『理想』ではなく、『夢』を『夢』で終わらせることではなく、数倍努力をすれば、絶対に『目標』に近づくことができる。そう確信しています。『理想』や『空想』ではなく、努力して『目標』に近づける。その為にまず何をしよう。そういった思考に変わっていきました。この事に気が付く事ができ、私自身はとても大きなモノを手放すことができたと思っています。手放す勇気、これはなかなかすぐには出てこない事ですが、その一歩を踏み出してみると、「意外といいかもしれない」「いや、結構いいかも」という事に気が付きます。勇気を出した時のその一歩は、とても大きな一歩だと思っています。

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